1. ピーベリーって何?
ふつう、コーヒーチェリー(実)の中には左右2つの平たい種子(フラットビーン)が入っています。ところが約3~5%の実では、片方の種子が育たず、1粒だけ丸い種子ができることがあります。これが「ピーベリー」です。言い換えれば、兄弟がいない“ひとりっ子”の豆と言えます。
2. なぜこんなに少ないの?
・自然の偶然:生育過程で片方の種子が何らかの理由(栄養の偏りや気象条件など)で育たずに消失すると、残った1粒に栄養が集中して丸く成長します。
・見た目では判別しづらい:チェリーの状態では平豆かピーベリーか判別できないため、収穫後にふるい分け(スクリーン選別)や目視による手作業で“丸い豆”だけを取り出します。その手間とコストが、量をさらに抑える要因にもなっています。
3. 手間とコストが生むプレミア感
手作業の選別:大量の平豆の中から丸い豆だけを見つけ出すには、人の目での選別が欠かせません。
価格への反映:生産量が少なく、選別コストも高いため、同じ品種の平豆よりも1.5~2倍ほどの価格になることも珍しくありません。
4. 丸い形がもたらす味わいのメリット
ムラなく焙煎しやすい:球形に近いため、熱が均一に伝わりやすく、焙煎ムラが少なくなります。
風味の凝縮:“ひとりっ子”ゆえに栄養分や油分が1粒に集中しやすく、まろやかでクリアな味わいが楽しめるとされています。
まとめ
ピーベリーは、コーヒーチェリー1粒あたりの豆が通常の半分しか育たない「自然の偶然」と、その後の「手作業による選別コスト」が重なって生まれる非常に希少なコーヒー豆です。その希少性ゆえにプレミア価格がつく一方で、丸い形ならではの均一焙煎による豊かな風味も大きな魅力。はじめての方は、小さな“ひとりっ子”豆ならではのまろやかなコーヒーをぜひ一度味わってみてください。